2014年10月6日月曜日

55. 福井の等栽(前)

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【現代読み】
福井は三里計(さんりばか)りなれば、
夕飯(ゆうめし)したためて出(いづ)るに、
黄昏(たそがれ)の道 たどたどし。
(ここ)に等栽(とうさい)と云う 古き隠士(いんし)有り。
いづれの年にか 江戸に来たりて予を尋(たず)ぬ。 
(はる)か十年(ととせ)余りなり。

いかに老(お)いさらぼうて有(ある)にや、
(はた) 死にけるにや と
人に尋(たづ)ね侍(はべ)れば、 いまだ存命して
「そこそこ」 と教ゆ。
市中(しちゅう)ひそかに引き入りて、
あやしの小家(こいえ)に、
夕貌(ゆうがお)へちまの 延(は)え掛かりて、
鶏頭(けいとう) 帚木(ほうきぎ)に戸(と)ぼそを隠す。

【語句】
福井: 現在の福井市で、当時は松平氏の城下町。
等栽: 福井俳壇の古老。 神戸氏。等哉、洞哉、とも。

夕顔: 夕方に白い花が咲く蔓(つる)性の植物で、大きな実からは干瓢(かんぴょう)が作られる。
源氏物語:夕顔」の段を連想させる。
糸瓜(へちま): これも蔓性の植物で黄色の花が咲き、実からはヘチマ(スポンジみたいなもの)が作られる。
鶏頭: 秋に咲く赤い花穂が、鶏の頭(鶏冠:とさか)に似ている。
帚木(ほうきぎ): 別名:帚草(ほうきぐさ)。
戸ぼそ: 扉のこと。



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