2014年9月29日月曜日

62. 井筒屋・奥書(元禄版)

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【現代読み】
此の一書(いっしょ)は芭蕉翁(ばしょう・おう) 奥羽の紀行にして、
素龍(そりゅう)が筆也(ふでなり)。
書の縦五寸五歩、 横四寸七歩、
紙の重(かさ)ね八十三 首尾(しゅび)に白紙を加う。
(ほか)に素龍が跋(ばつ)有り。 (今は之を略く)
行成紙(こうぜいがみ)の表紙、 紫の糸、
外題(げだい)は 金の真砂(まさご)散らしたる白地(しろじ)に、
「おくのほそ道」 と自筆に書きて 随身(ずいじん)し給(たま)う。

遷化(せんげ)の後(のち)、 門人(もんじん)去来(きょらい)が許(もと)に有り。
また真蹟(しんせき)の書、 門人・野坡(やば)が許(もと)に有り。
草稿の書ゆえ、 文章所々相違す。
今 去来が本を以(も)て、 模写(もしゃ)する者也。

京寺町二条上ル町 井筒屋(いづつや)庄兵衛(しょうべえ) 板

去来(きょらい): 向井去来(むかい・きょらい)蕉門十哲にも数えられる京都の俳人。 
能書家の素龍が清書した「おくのほそ道」は伊賀上野の芭蕉の兄のもとにあったが、遺言により去来に贈られ、それを模写して版にしたものが井筒屋の元禄版(初版)である。
去来が譲り受けた本は、何度も推敲を重ねた上で浄書された決定稿とみなされており、多くの人の手を経た後に、現在は敦賀の西村家が所蔵し、「西村本」と呼ばれている。

真蹟の書、門人・野坡(やば)が許にあり: 野坡(やば)も蕉門十哲の一人で、素龍が清書する前の、芭蕉自筆の本を持っていた(通称「野坡本」)。 「草稿の書ゆえ、文章所々相違す」とあるのはそのため。
これは現在、岩波書店から「芭蕉自筆奥の細道」というタイトルで復刻版が出ている。

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